ゆとり社会人の読書ノート&エクセルVBA

素人が公法を中心に幅広く読書をします&エクセルVBA奮闘記です。

鵜飼信成『憲法』(岩波文庫、2022年)

石川健治教授による100頁近くの解説とともに、現代に蘇りました。

 

 

本書は、岩波全書の1冊として出版された同名書を、本書の解説者としてこの上ない人選である石川健治教授の解説とともに岩波文庫に納めるものです。

 

憲法学を学習する中で鵜飼信成の名を聞くことは稀ですが、法学協会による『註解日本国憲法』の編集に大きく関わっており、日本国憲法最初期の学者として看過できない影響力を持っています。

 

本書は、単なる憲法の入門書に収まらないスケールを誇ります。石川教授が解説にて「著者の才気を縦横に展開することを許容した岩波全書という器と、50歳を迎えた著者自身の学問的充実と、読書する公衆という共鳴板との相乗積として産み出された、これはひとつの奇跡である」と断言するのも頷けます。

 

著述は平易ながらも、註には読者の教養を問うようなものや、学術的な水準を維持したものが散見され、読むにつれて味わい深さが増す仕掛けになっています。

 

私は、石川教授の清宮四郎に関する一連の著作を追っかけているので、鵜飼信成の城大シューレとしての一面も興味を惹かれました。

 

実は手元に講談社学術文庫の『国民主権天皇制』があるので、近々レビューを上げたいと思います。