待望の近刊が2月発売予定です。
勁草書房の近刊情報に、大垣教授の『金融と法Ⅱ』の刊行予定が載りました。本書は、大垣教授による一連の金融と法シリーズの中の一冊で、本書の対象はデリバティブになります。
今回は、『金融と法Ⅱ』刊行記念で、金融と法シリーズについて簡単にまとめておきたいと思います。
著者によれば、本シリーズは「現代ファイナンスのほぼ全領域を基礎的なものから専門性の高いものへと体系化し、高度化の一途をたどる金融技術を理解するための基礎的な考え方や知識を解説すると同時に、そうした先端分野で、法律がどのような役割を果たしているのかを主として法技術の視点から明らかにすることを目的」としています*1。
本シリーズの最大の特徴は、⑴ファイナンス自体の入門書でありながら、⑵ファイナンス法の入門書でもあり、⑶金融実務の流れをベースに、法的観点を、⑷分かりやすく解説を加える形になっている点です。⑴については類書は数多く出版されています。⑵については数は少ないながらも専門書はある程度出版されています。⑶、⑷については本書を措いて類書はありません。
シリーズで最初に刊行された『金融と法』によれば、全2部で金融と法の関わりを網羅的に紹介する予定でした。現在では、同じく勁草書房から出ている「金融から学ぶ」シリーズの2冊を含めて、少なくとも5部構成になっていると考えていいでしょう。以下に、『金融と法』「はじめに」の一部を引用します。
本書は、(中略)「金融と法」の第1部にあたる。内容としては、金融の基本概念、企業ファイナンスの基礎、投資ファイナンスの基本的な手法(エクイティー、デット)、市場型間接金融、信用補完を含み、ストラクチャードファイナンスやデリバティブといった先端分野を除く企業ファイナンスの基礎的分野をほぼ網羅している。また、これらの担い手となる金融機関についてもそれぞれの場所で説明を加えた。(中略)第2部では、商業ファイナンス、ストラクチャードファイナンス、デリバティブ、ストラクチャードプロダクト(デリバティブの証券化)、ハイブリッドファイナンス、M&Aと事業の証券化、タックスファイナンスとリスクファイナンス、家計ファイナンスと先端金融技術といった分野を扱う予定である。第1部と第2部を分けたのは単に分量的な理由による。両者は体系上密接に連関しており、第1部の説明は第2部を理解するための前提となっている。
『金融と法』に挙げられている語句に忠実に言えば、『金融と法Ⅱ』で対象となるのは「デリバティブ、ストラクチャードプロダクト(デリバティブの証券化)」です。
発刊順に、既刊と内容を対応をさせると下記になります。
『金融と法』*2:企業ファイナンス(金融の基本概念、企業ファイナンスの基礎、投資ファイナンスの基本的な手法(エクイティー、デット)、市場型間接金融、信用補完)
『金融から学ぶ民事法入門』:家計ファイナンス(、民事法入門)*3
『金融から学ぶ会社法入門』*4:商業ファイナンス、M&Aと事業の証券化(、会社法入門)*5
『金融と法Ⅱ(近刊)』:デリバティブ、ストラクチャードプロダクト(デリバティブの証券化)
『金融と法Ⅲ(未完)』:ストラクチャードファイナンス、タックスファイナンス、リスクファイナンス?
Ⅱで対象となるデリバティブは理解が浅い分野なので今から楽しみです。