ゆとり社会人の読書ノート&エクセルVBA

素人が公法を中心に幅広く読書をします&エクセルVBA奮闘記です。

森田修『債権回収法講義(第2版)』(有斐閣、2011年)

魅力的な本でしたが、難易度が高く歯が立ちませんでした。

  • 民法の理解に資することを期待して読みましたが、倒産法・執行法の知識も求められるハイレベルな1冊で、理解には至りませんでした。
  • ロースクールの講義を元にしており、参考文献には論文・判例が多く掲載されています。これらに簡単にアクセスできる状況でなければ学習すら困難かと思います。
  • コンセプトは魅力的で、ハウツーにとどまらない債権回収の体系的な説明と理解を目指しています。理解には3つの視角が提示されていて、①手続的変容、②実体的変容、③実体的顕現*1となっています。
  • ①手続的変容は、法的取扱いの変化が、一見、 実体権の内容の変化のように見えるが、それは、そもそもそして如何なる手続が開始したか等といった手続法的な事実によって、 実体権に、外在的な手続法上の制約が生じたにすぎず、 実体法上の内容の変化が生じているのではないと構成する視角。
  • ②実体的変容は、手続諸段階の開始等の事実によって生じる法的取扱いの変化を実体権に実体法上の変化が生じたものと構成する視角。
  • ③実体的顕現は、ある法的取扱いの変化を、実体権の内容として実体法が本来設計予定していた本質が顕現するだけであって、 そもそも変化ではないと構成する視角。

*1:本書7頁。