木庭顕教授の学生向けの民事法再入門です。
本書は、ローマ法の研究で著名な、東京大学法学部の木庭顕教授の授業を再現した1冊です。木庭顕教授は日本学士院賞も受賞しており、その業績は文句なし。占有を基礎とした法体系の理解に特徴があります。
本書の形式上の特徴は、①法学部の授業を受けても法律学の学習を終えたと実感を持てない、②学習困難者に対して、③法律学の裏道を、④ケースメソッドで教授していく点にあります。
また、内容上の特徴は、⑤法律学の基礎的な知識をあえて経由せずに、⑥想像力を駆使して、③'占有を基礎とした民事法学の提示点にあります。
本書を読んだ感想としては、①民事法を真剣に勉強しておらず、④ケースメソッドに対して冗長さを感じてしまう私には、⑥想像力はおろか、③法律学の裏道たる占有を基礎とした民法学の体系などわかるわけもなく、⑤法律学の基礎的な知識との関連もわからず途方に暮れてしまいました。
ケースメソッドを用いてはいるものの、教養と地頭のない単なる②学習困難者は、問題意識に近づくことすらできません。
類書に、勁草書房から出ている『笑うケースメソッド 現代日本民法の基礎を問う』(勁草書房、2015年)*1がありますが、こちらの方が薄く、実際の判例を元に議論が展開されているので、多少は読みやすいかもしれません。
現代民法学の議論を相対化したい方は是非読んでみてはいかがでしょうか?
私はもう少し民法学の勉強をしてから再チャレンジしようと思います。