債権法分野でオススメの基本書です。
本シリーズは、立教大学の野澤正充教授による債権法分野の基本書です。法学セミナーでの連載が基になっています。本書の特徴を一言で表すならば、「スタンダード」なことです。
本書は、ケースメソッドや要件事実、予備校的なフローチャートにかぶれる(?)ことなく、淡々と文章でまとめてあります。文章の途中には、インデントされて判例が引用され、通説と判例を、分かりやすい文章でまとめ上げていきます。
これだけ聞くと、とてもつまらない基本書のように感じてしまうかもしれませんが、余計なことに惑わされることなく民法の基礎を叩き込むのに最高の本です。なんというか、読み進めていくにつれて、民法が頭に染みわたっていくような感覚すら覚えます。私のように民法が苦手な人間には、こういう本の方があっているのに、なかなかこういう本は出版されていません。本書はその意味でとても貴重な本です*1。
スタンダード系の本を債権法分野で探している人は、ぜひ読んでみてください。学習のスピードが大幅に上がると思います。
*1:おそらく、本書のような役割は、LEGAL QUESTシリーズが担うべきなんでしょうが、まだシリーズが完結していませんし、分野ごとの完成度の差もあって、受験生からはつまみ食い されている状況なんでしょう。