碩学による日本政治思想史の入門書です。
本書は、日本学士院会員かつ丸山眞男の門下生の著者による日本政治思想史の入門書です。著者や書評の中で、本書を入門書と定義しているものは見当たらなかったが、私としては入門書としてオススメしたい1冊でした。
その理由は、①著者の文章力がかなり高く、エッセイ調な文章なこともあってとても読みやすいこと、②通史的な記述による章と、思想家別の章があり、いわゆる日本政治思想史を縦軸・横軸で理解できること、の2点です。
ただ、日本政治思想史自体が、儒学・朱子学の知識をかなり前提とするため、本書の前にそれらの入門書を読んでおくことが必要かと思います。私自身は、丸山眞男の『日本政治思想史研究』を読みこなすための前段階として読んでいます。