伝説の1冊を読んでみました。
法学系でカール・シュミット研究において必読の論文集といえば、本書と石川健治『自由と特権の距離』でしょう。結果としては、私の前提知識では全くと言っていいほど読み解けませんでした。シュミットの知識だけでなく、政治哲学一般への広範な知識が求められる印象です。法学の書として読まれるべきではなく、シュミットという偉大な思想家とがっぷり四つで取り組んでいるスケールの大きな1冊でした。
カール・シュミットの初期作品を内在的に読み解き、「カトリック教会とそれをモデルにした近代絶対主義国家の下での秩序と観念世界を、『再現前(Repraezentation・代表)』の概念を核として公法学の場で復権し、ドイツ近代の国家・社会・文化の在り方を批判する」ことを示すものです。
何回も熟読して本書を理解できる人間になりたいと思います。
それにしても同年代にこれだけ傑出したシュミット研究者が2人もいるというのは驚きです。