久々に訳のわからない本を読みました。最初に読んだ『自由と特権の距離』以来です。
本書は、ドイツ語圏憲法学でシュミット、ケルゼンと並び称される*1スメントの主著の待望の邦訳です。スメントの憲法学説はかなり難解なことで有名で、「統合」をテーマに国家論・憲法論を再構築しています。また手法の面では、同時代のテオドール・リットの「精神科学」の影響を大きく受けているとされます。
難解なスメントの憲法理論は、シュミット、ケルゼンと比べると大きく取り上げられる機会は少なく、本書も満を持しての邦訳でした*2。
しかし、スメントの統合理論の難解さに加えて、本書の訳がドイツ語をかなり尊重しているせいで日本語としては読みにくいものになっています。そのままドイツ語に直訳したら原文になるんじゃないかというほどです。
その前に読んだケルゼン『純粋法学』の長尾訳がとても読みやすかったのもあり、かなり残念に思ってしまいました。
私の理解も全然追いついていないですので、繰り返し読んでいきたいと思います。
*1:有名どころでは、コンラート・ヘッセ、ペーター・ヘーベルレ等がいます。
*2:日本における代表的な研究としては下記が挙げられます。 uyutomo.hatenablog.com uyutomo.hatenablog.com