書評というより、次回への意気込み。
久々に、全くといっていいほど理解できなかった本です。本書は、スメントの「統合理論」を通じて、公法学上の重要概念である「執政権(国家嚮導行為)」について考察している論文です。
今回の記事は、自分が理解できなかったことを反省するための記事なので、
論文の詳細・評価については博士論文の審査を参照ください。
http://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/gazo.cgi?no=124243
本書では、国家嚮導行為を明らかにするために、学問上の発展過程を追っています。
本書ではまず、執政権の議論状況を簡単にまとめています。日本の学者として、櫻井敬子*1、日比野勤*2、その理論的背景にあるヘッセやボイムリンを参照し、彼らの思想に影響を与えたスメントの統合理論へと発展していきます。
スメントの統合理論の説明は、同時代を生きたカール・シュミットとハンス・ケルゼンとの比較の中で行われます。
また、統合理論の背景には、テオドール・リットの共同体論も控えており、その紹介も行われます。
最後には、ブリューニンク内閣の緊急命令統治という文脈で、スメントの統合理論がどのように展開していったのかが、応用編のような形でまとめられています。
本書を読んで、背景知識のなさを痛感しました。本書の構成上、シュミット、ケルゼンについては思想的背景から理解している必要があります。生半可な知識ではスメントを理解できません。また、スメントの理論自体も難解です。原著を読めない中、彼の思想を理解するためには、ヘーゲルやディルタイの日本語書籍で、裏側からスメント理解する必要があります。
次のチャレンジがいつになるかは分かりませんが、読書履歴を積んで挑みたいと思います。
*1:詳細については、本書を参照してください。 uyutomo.hatenablog.com
*2:日比野勤の執政権論に関する分かりやすい論考として、下記参照してください。 uyutomo.hatenablog.com