教科書ではあまり記述されない「敗者から見た」戊辰戦争を明らかにします。
本書を手に取った理由は、東北地方出身者から、「我々の親世代は子供が薩長出身者と結婚するのを許さなかった」と聞いたことでした。
それまでに高校レベルの日本史の授業は一通り受けましたが、戊辰戦争に関する記述はあまり多くなかったと記憶しており、新政府軍があっけなく勝利したものと思い込んでいました。
そんな中上記の発言を聞いたときに、ストーリーとしての戊辰戦争も押さえておかなければ、と思い本書を読みました。
本書の特徴は主に2点で、①東北・北越・箱館地方を中心に、「敗者」の側から戊辰戦争全体を記述している点、②物語調とは言わないまでも平易に書かれている点です。
①について、戊辰戦争の各論では白虎隊の凄惨な死や江戸城無血開城等有名なシーンが数々ありますが、所謂名シーンの描写は限定的です。
②について、著者は一般向けの歴史解説書を本書以外にも書いており、この手の本は書き慣れているようです。著者自身が東北出身ということもあり、モチベーション高く書かれた本だと思われます。
事実としてどうかについて言及は避けますが、戊辰戦争の敗北が東北地方の発展を妨げたという意見・見方があり、当地の人にとっては重要な問題なのだと認識しました。