ソニー成長を裏側から語る1冊です。
本書は、日本初のCFOとしてソニーの財務戦略を担ってきた伊庭氏による、ソニーの財務史です。財務史と銘打ってはいますが、財務のみならず、ソニーの事業拡大にともなって裏側(管理側)で何が起こっていたのかが分かるようになっています。
ソニーと言えば、事業や製品以外にも新規の取り組みを数多く行っています。
筆者が名乗っていたCFOという肩書もそうですが、カンパニー制の導入やADR(米国預託証券)の発行など、管理系での新規の取り組みもかつてのソニーでは盛んにおこなわれていました。
もちろん、中には失敗したものもありますが、創業者である盛田昭夫の新しい物好きの精神によって、事業や製品のみならず管理系でもイノベーションを追求していく姿には、憧れを抱きます。
本書の執筆動機は、筆者の昔のソニー懐古にあるようなので、読んでいてしっくりこない部分も多いのですが、日本を代表するグローバル企業がどのように管理系の仕組みを整えていったのかを追体験できる点でとても面白い本です。