ゆとり学部生の読書ノート

公法を中心に、気になった本について書きます。

内田貴『抵当権と利用権』(有斐閣、1983年)

民法改正の中心的メンバーであり著名な教科書でも知られる、内田貴東大名誉教授の助手論文をまとめた論文集です。

抵当権と利用権 (北海道大学法学部叢書 (8))

抵当権と利用権 (北海道大学法学部叢書 (8))

本書で扱われているテーマは、「抵当権と賃借権」の関係をどう捉えるかです。具体的には、民法旧395条に規定されていた、短期賃借制度の問題を取り上げています*1

考察にあたっては、①立法沿革、②明治期から昭和期までの裁判例、③比較法対象としてドイツ・イギリスが検討されています。

民法学界における本書の評価はよくわかりませんが、短期賃貸借制度は強く批判されていた(という教科書の記述をよく見るし、実際、現在は改正されている)ので、それなりにインパクトのある研究だったのだと思われます。

本書のかなりの部分は、各国の判例を検討する作業にあてられているので、改正にあたっても基本文献になったのでしょう。

もっと学説っぽい論文は、『契約の時代』*2、『契約の再生』*3や『制度的契約論』*4なんでしょうね。今度はそっちにトライしてみたいと思います。

*1:教科書で言えば、内田貴民法Ⅲ』(東京大学出版会、2005年)432-43頁の内容にあたります。

*2:

契約の時代―日本社会と契約法

契約の時代―日本社会と契約法

*3:

契約の再生

契約の再生

*4:

制度的契約論―民営化と契約

制度的契約論―民営化と契約