ゆとり社会人の読書ノート

法律を中心にいろいろな本を読みます

金惺潤『不動産投資市場の研究』(東洋経済新報社、2013年)

不動産業界の栄枯盛衰をまとめあげた貴重な1冊です。

本書は、バブル崩壊後から2011年までの不動産投資にまつわる業界研究本です。

現在、大胆な金融緩和政策によって不動産バブルとなっていますが、このバブルがどうなっていくのかを考えるうえで最も重要な1冊です。

本文で623ページとかなり大部な本なので、読み方は複数ある思います。当時のプレイヤーがどのような前提の上でどのような判断を下したのかを把握するもよし、リーマンショックを生き抜いた不動産会社の共通点から生き抜くための術を学ぶもよし、これからの不動産業界に必要なものを考察するもよしです。

個人的に興味深かったのは、バブル崩壊リーマンショックを乗り越えたプレイヤーがどうして生き残ったのかを考察する最終章でした。

筆者によると、結局は資金調達力であるという。それは、長年に渡って積み上げてきたコーポレートブランドによる調達力でもあり、フィービジネス・アセットビジネスの組み合わせによる収入ポートフォリオの安定です。

歴史上、「カタカナ不動産会社」が何社も現れましたが、成長を継続することはできるものの「トップティアの壁(=総合不動産デベロッパー)」を超えられた企業はありません。

個人的には、上記の前提に立つと、不動産がドメスティック産業である以上、総合デベロッパーを超える会社が現れることはないのではないかと思います。

今の不動産バブルが崩壊して本書が改訂されるときに、どのような内容になるのか楽しみです。