文章術の本としておすすめされている1冊を読みました。
本書は、朝日新聞でジャーナリストとしてキャリアを歩んだ著者によって書かれた文章術(タクティクス)の本です。文章術の本として本書が推薦される機会は多く、木下是雄『理科系の作文技術』(中公新書、1981年)*1と双璧をなしています*2。
読後の所感としては、文章術を学ぶという目的であれば本書は推薦しません。
本書を手放しでオススメできない理由は2つあります。
一つ目は、具体例が多すぎて、実際に使えるテクニックの記載が少ないことです。
二つ目は、著者のイデオロギーとも思われる叙述が多く、テクニックを学ぶ本というよりはエッセイのような印象を受けたことです。
テクニックの本は、とにかく重要度順にテクニックを羅列してくれればいいのですが、そうなっていませんでした。
ちなみに、私が文章術(タクティクス)を学んだのは、受験新報の答案の書き方特集でした。
逆接でない「が」は使わない、「の」を重ねて使わない等、本当に活用できる文章術が簡潔にまとまっており、血肉になりました*3。
また、文章術(タクティクス)ではなく思考方法・構想(ストラテジー)であれば、下記2冊がおすすめです。両書とも、私の思考方法や文章の書き方を根底から支えている書籍になります。
文章におけるストラテジーで重要なのは階層構造を作ることだと考えています。もちろん、本書に影響を受けている私が左記のように書いても、鶏が先か卵が先かわかりませんが。