ゆとり社会人の読書ノート&エクセルVBA

素人が公法を中心に幅広く読書をします&エクセルVBA奮闘記です。

山本龍彦=大林啓吾『アメリカ憲法の群像 裁判官編』(尚学社、2020年)

私の好きなシリーズの続編が刊行されました。

本著は、2010年に発行された理論家編に続く裁判官編です。
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前著は、アメリ憲法の学者にフォーカスしてアメリ憲法の豊かな土壌を解説するものでしたが、本著は満を持しての最高裁裁判官の解説となります。

紹介されているのは下記の14人で、憲法の勉強をしていれば必ず目にすると言っても過言ではないメンバーです。

  1. ジョン・マーシャル—歴史の人/溜箭将之
  2. オリヴァー・ウェンデル・ホームズJr.—貴族的な懐疑主義者/巻 美矢紀
  3. ルイス・ブランダイス—生ける法を実践したプラグマティスト/大林啓吾
  4. チャールズ・エヴァンズ・ヒューズ—ニュー・ディール期連邦最高裁の見失われた遺産/中川 律
  5. ベンジャミン・N・カードーゾ—“Pure Judge"/平地秀哉
  6. ヒューゴ・ブラック—歴史は繰り返すか?/森脇敦史
  7. アール・ウォーレン—変革のための裁判/齊藤 愛
  8. ウィリアム・J・ブレナンJr.—萎縮効果を透視した「普通の人」/山本龍彦
  9. ハリー・ブラックマン—Roe判決の執筆者/大石和彦
  10. ウィリアム・レーンキスト—司法行政に長けた保守派のプラグマティスト/大江一平
  11. ジョン・ポール・スティーヴンス—憲法解釈におけるコモン・ロー的方法論/奈須祐治
  12. サンドラ・デイ・オコナー—決断の人/横大道 聡
  13. アントニン・スカリア—The Originalist/大河内美紀
  14. ルース・ベーダー・ギンズバーグ憲法的価値の実現と協働的営為/尾形 健

各章とも、各裁判官の思考の根底に迫るアラカルトになっています。自分が知っている裁判官、興味のある著者の章からつまみ読みが可能になっています。

個人的に興味を惹かれたのは、プラグマティスト・ブランダイスと、ウォーレンコートを率いたウォーレンです。ブランダイスは憲法判断回避のブランダイスルールで有名な、あのブランダイスです。

本書を楽しむためには、多少の有名判例の知識が必要にはなりますが、アメリカ法判例百選で必要な判例分を読めば足りる程度ですので、ぜひご一読を。

以下は投げ銭用です。

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