ニトリ創業者の似鳥昭雄氏の「私の履歴書」を基にした、本格的な自伝です。
ニトリは、今期6,140億円の売上を見込む、家具SPA企業です。似鳥氏はその創業社長で、1967年にニトリの前身となる「似鳥家具店」を創業しています。
創業社長には、サラリーマン社長とは異なり、強烈なビジネスの才覚が求められます。
本書を読めば、似鳥氏の才覚が見えてくると思ったのですが、書いてある内容は失敗談ばかり。
学校ではいじめられたり、会社では社員に横領されたり、エアドーム型の店舗で失敗したりと、間抜け(?)なエピソードが続きます。
私が考えるところだと、似鳥氏(ニトリ)の強さの源泉はホームファニシングという理念の先進性だと思います。
似鳥氏は、アメリカへの視察を通じて、家具だけでなく家財道具全般をコーディネートするというホームファニシングの概念を取り入れます。
今では、家具の売上は40%程度になっているとのことです。消費者としては、ニトリに行けば家財道具が一式揃うというのは確かに便利です(私もその一人です)。
自身の事業ドメイン・過去の成功ににこだわりすぎて経営が思うようにいっていない大塚家具を見れば、ホームファニシングの強さが分かります。