ゆとり社会人の読書ノート&エクセルVBA

素人が公法を中心に幅広く読書をします&エクセルVBA奮闘記です。

内田貴『民法Ⅰ 総則・物権総論(第4版)』(東京大学出版会、2008年)

民法学の代表的体系書のご紹介です。

言わずと知れた、現代民法学の代表的体系書です。司法試験や国家公務員試験の受験生にも人気の本です。

国家試験で民法を受けずとも、大学の法学部で本書に出会っている人も多いと思います。

かくいう私もその1人で、この本を使って勉強をしていましたが、必死に勉強したはずの民法総則の単位を落としてしまい、途方に暮れました。

そのときは幼かったので、内田民法のせいで単位を落としたことにして封印し、次の年は、佐久間民法*1で単位を回収しました。

実を言うと、民法総則の授業が始まった年に、勢い余って、全巻買ってしまっていたのですが、それも全部封印していました←

月日は流れ、最近、少し民法のことを調べる必要があり、この本(と、シリーズのⅡ*2・Ⅲ*3であると気づきました(遅い)。

最近気づいたこの本の特徴は、民法学の世界を広く深く探索しながら、それをコンパクトにまとめている点です。

よく考えたら、たったの4冊で、しかもケースメソッドを用いながら、学説史にまで触れている体系書なんて、並の本ではありません。そりゃ、民法の「み」の字も知らない法学部生にこの本を読みこなせるわけがないです。

民法総則でいえば、早速、70頁に、錯誤の判例理論の批判者として、舟橋諄一・川島武宜が登場します。

もちろん、学者の名前が出てきたところで、内容自体は分かりやすさに変わりはないのですが、こういう学問的な側面(?)が、かつての私のような、か弱い法学部生を苦しめているのだと思います。

その点、佐久間民法がシェアを伸ばしているのは納得できます。入門書としては、こちらの方がとっつきやすいでしょう*4

というわけで、内田民法の感想をまとめると、「中級者以上が、内容の高度さ・分かりやすさ・コンパクトさに感動しながら辞書的に使う本」といったところでしょうか。

*1:

*2:

*3:

)))を読むようになりました。 すると、あのころとは違ってすいすい読めるし、とても分かりやすい。なにしろ欲しい情報がすぐ手に入る良本((本書には、条文索引がついています。うれしいばかりです。

*4:もちろん、補論や発展学習で説明されている要件事実の記述などはレベルが高いですが。