民法学の代表的体系書のご紹介です。
言わずと知れた、現代民法学の代表的体系書です。司法試験や国家公務員試験の受験生にも人気の本です。国家試験で民法を受けずとも、大学の法学部で本書に出会っている人も多いと思います。
かくいう私もその1人で、この本を使って勉強をしていましたが、必死に勉強したはずの民法総則の単位を落としてしまい、途方に暮れました。
そのときは幼かったので、内田民法のせいで単位を落としたことにして封印し、次の年は、佐久間民法*1で単位を回収しました。
実を言うと、民法総則の授業が始まった年に、勢い余って、全巻買ってしまっていたのですが、それも全部封印していました←
月日は流れ、最近、少し民法のことを調べる必要があり、この本(と、シリーズのⅡ*2・Ⅲ*3であると気づきました(遅い)。
最近気づいたこの本の特徴は、民法学の世界を広く深く探索しながら、それをコンパクトにまとめている点です。
よく考えたら、たったの4冊で、しかもケースメソッドを用いながら、学説史にまで触れている体系書なんて、並の本ではありません。そりゃ、民法の「み」の字も知らない法学部生にこの本を読みこなせるわけがないです。
民法総則でいえば、早速、70頁に、錯誤の判例理論の批判者として、舟橋諄一・川島武宜が登場します。
もちろん、学者の名前が出てきたところで、内容自体は分かりやすさに変わりはないのですが、こういう学問的な側面(?)が、かつての私のような、か弱い法学部生を苦しめているのだと思います。
その点、佐久間民法がシェアを伸ばしているのは納得できます。入門書としては、こちらの方がとっつきやすいでしょう*4。
というわけで、内田民法の感想をまとめると、「中級者以上が、内容の高度さ・分かりやすさ・コンパクトさに感動しながら辞書的に使う本」といったところでしょうか。