ホッブズの入門書を読みました。
政治思想というと、ロック・ルソー・モンテスキューが中心的に扱われ、ホッブズはテキトーにあしらわれてしまうのが定石です。まるでロックの前座のような扱いです。私は、そんな扱いが不憫に思えてなりませんでした。「万人の万人に対する闘争」という、とても説得的な仮説*1から議論を進めているにもかかわらず、なぜ「不当な」評価しか受けていないのかが気がかりでした。
そんなホッブズの入門書です。1冊まるまるホッブズにあてられた入門書・概説書ということで、それだけでも貴重な本です(笑)*2
内容は、前半でホッブズの思想をまとめ、後半では、アーレント、レオ・シュトラウス、ネグリ=ハートとホッブズの関係性について論じています。つまり、前半では、ホッブズを内在的に理解し、後半では、ホッブズを外在的に理解するという構成になっています。いろいろな角度からホッブズに迫り、相対化することで、より深くホッブズの思想を理解できるようになっています。
通常だと、ロックとの対比で語られることが多いホッブズですが、いわゆる現代思想の根底にもきちんと影響力を及ぼしていることが分かります。私には、ホッブズの新しい語り方として、とても新鮮に感じられました。
2014年には、岩波書店から『ビヒモス』*3が、光文社古典新訳文庫からは『リヴァイアサン』の新訳*4が出版されています。出版業界は、ちょっとしたホッブズ・ルネサンスなんですかね(笑)これらの本のお供にオススメです。