村上ファンドの総帥として有名な村上氏の自伝です。
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村上氏と言えば、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引の容疑で逮捕された印象が強く、当時まだ状況をよく理解できていなかった私は、世間と同じく「悪者」というイメージしか持っていませんでした。
その後、社会について学ぶにつれて、世間で言われているほど「悪い人」ではないと思うようになり、本書を手に取りました。
感想としては、コーポレートガバナンスを日本に定着させたいという本人の発言がどれほど真意なのかは別として、日本の株式市場軽視の経営は、彼によって大きく変わったと思います。
ニッポン放送事件直後から、会社は誰のものなのかという議論が盛んにおこなわれるようになりましたし、ROE重視の経営が叫ばれ、株主利益に配慮しようという機運が強くなったことも確かです。
日本社会の悪い癖で、出る杭として打たれてしまい、実質的に活動不可能な状況に追い込まれてしまったことは残念ですが、彼の問題提起はしっかり受け止められなければならないものです。
本書を読んで、村上氏の再評価、株式市場の在り方について私なりにももう少し考え直してみたいと思います。