民法改正に対応した入門書の紹介です。
私は学生の頃から民法が苦手*1なのですが、折を見て苦手意識をなくそうと民法の本を読むようにしています。今回もその一環で、本書を読みました。
結論は、個人的な民法入門書オススメ2位*2にランクインで、民法の他の本を読んで「違和感」を感じている人にオススメできます。
本書の大きな特徴は、「なぜ」その制度があるのかという、基本的な記述が充実していることです。
例えば、普通の基本書ではあまり触れられることのない民法の歴史に関しても、p31~p39に渡って記述されています*3。
逆に、試験勉強が得意で、とにかく暗記してパターンで答えられるという人に、本書は必要ありません。
民法が好きになりたい/必要なんだけど、何かスッと入ってこないという人はぜひ読んでみてください。
2点注意点を挙げるととすれば、①本書は民法の条文の順番とは体系が組み替えられていることと、②1冊で家族法まで網羅しているため、情報量は多いが記述に濃淡があることです。
①については内田民法をはじめとして、民法の体系に即しない基本書も多いので問題ないと思いますが、念のため。
*1:民法が苦手な理由は、①抽象度、②範囲の広さだと自覚しています。①については社会人になったことである程度克服されていますが、②に関しては本格的な勉強がめんどくさくて避けている状況です。
*2:ちなみに、個人的な民法入門書オススメ1位は、米倉明『プレップ民法(第5版)』(弘文堂、2018年)です。 売買契約を例にとって、財産法をストーリーとして描き出す様は圧巻です。師弟関係にある、米倉明と道垣内弘人がともに優れた民法入門書を書いているのは何かの因果でしょうか。
*3:普通の基本書であれば、パンデクテン方式とインスティトゥティオネス方式の違い、アクチオに関してくらいしか記述されていないのが一般的です。