ゆとり学部生の読書ノート

公法を中心に、気になった本について書きます。

多和田葉子『エクソフォニー―母語の外へ出る旅』(岩波書店、2012年)

入試現代文でも頻出のエッセイ集です。

表題となっている「エクソフォニー」とは、「母語以外の言語で文学を書く」現象をさす語として確立したものです。

そして、著者の多和田葉子は、『犬婿入り』で芥川賞を受賞し、現在はベルリンに在住しながらドイツ語でも創作活動を続けている異色の作家です。この表題で本を書く日本人としてもっともふさわしいといっても過言ではありません。

200ページほどの本文は、2部構成になっています。第1部は「母語の外へ出る旅」と称して、著者が出向いた先々でのエクソフォニックな体験を綴っています。第2部は「ドイツ語の冒険」と称して、著者の豊かな感性で切り取られたドイツ語についてのエッセイになっています。

とても読みやすいエッセイなので、すらすらと読めてしまいますが、中身はかなり示唆的です。大学入試現代文で扱われることが多いのもうなずけます。

あまり読書に親しみのない人にでも強くオススメできる傑作のエッセイです。ぜひ読んでみてください。