普段はあまり読まない哲学方面の本のご紹介です。
本書は、プラトンの主著『国家』*1(本書では、「ポリテイア」と表記されている。)が、どのように受容されてきたかを丁寧に追っています。第Ⅰ部では、『ポリテイア』をめぐる議論の中心をなす「正義」や「人間本性」といった概念について確認します。第Ⅱ部では、日本における受容史を取り上げ、全体主義や共産主義といった多様な文脈で語られてきたプラトン像を明らかにします。第Ⅲ部では、「ポリティア」という概念をめぐる誤解を解消し、これからの『ポリティア』について考察します。
私自身、(純粋な)哲学は苦手なのですが、この本は面白く読むことができました。
個人的には、プラトンを全体主義に援用する論者として、上杉慎吉や筧克彦が登場しており興味を引きました。文学部→法学部という日本の憲法学の形成史(?)を再確認しました。
前提知識も興味も持ち合わせていない私でも読み通すことができたので、おそらく多くの人にオススメできる1冊だと思います。