ゆとり社会人の読書ノート

法律を中心にいろいろな本を読みます

駒村圭吾『憲法訴訟の現代的転回―憲法的論証を求めて』(日本評論社、2013年)

司法試験受験生に人気の1冊の紹介です。

本書は、審査基準論・三段階審査・司法試験の3点を架け橋する試みです。

第1部で自由権における憲法的論証とは何かを解説したのち、自由権以外の権利、憲法訴訟上の重要論点についての解説に進みます。

本書は位置づけの難しい本なので、他の本との比較によって特徴を明らかにしていきたいと思います。

一般的な基本書や、木村草太『憲法の急所』*1との違いは、「雑誌的」な本に仕上がっていることでしょう。体系性を志向していない分、読みやすくなっています。おそらく、つまみ食いでも十分理解できるのではないかと思います。詳しすぎるくらいに書いてあるので、個別の論点について理解を深めるには有用です。

他方、「憲法的論証」を身につけるのであれば、本書よりも、小山剛『「憲法上の権利」の作法』*2の方が有用です。『作法』の方が体系性・応用性ともに優れています。

宍戸常寿『憲法 解釈論の応用と展開』*3とは、方向性が似ていると思います。ただし、①統治があるか否か、②考えさせるか、読ませるか、といった違いがあります。

結果として、(おそらく著者が企図している通りに)良い意味で「中途半端」な本になっています。

もし私が司法試験を受けるのであれば、分かりにくい論点について辞書的に参照することになると思います。ただ、この使用方法も、曽我部真裕ほか『憲法論点教室』*4と被ってしまいます。

というわけで、結果的には、駒村説を確認するためだけに使うことになるのかなぁ。

というわけで、合う人はぜひ使ってみてください。それ以外の人は、分からない部分を参照するか、駒村説を確認するのに使ってみてください。

*1:

憲法の急所―権利論を組み立てる

憲法の急所―権利論を組み立てる

*2:

「憲法上の権利」の作法 新版

「憲法上の権利」の作法 新版

*3:

*4:

憲法論点教室

憲法論点教室