論壇で有名な大澤真幸氏の代表作です。
私は、社会学の本はあまり読まないのですが、少ない読書数の中でもおもしろいと思っているのが本書です。ちょっと背伸びをした読書がしたいという人には、この本をよくオススメしています。本書では、戦後の日本社会が、連合赤軍事件、オウム真理教事件によって3つに分断されたとし、それぞれを、理想の時代、虚構の時代、不可能性の時代と名付けています。オウム真理教をめぐる分析から、虚構の時代の終焉を描いたのが本書ということになります。
ちなみに、不可能性の時代について詳述した本として、『不可能性の時代』(岩波新書、2008年)があります。本書の続編的な内容を含んでいるので、こちらもぜひ読んでみてください。
社会学について前提知識を持っていなくても、すらすら読めてしまいます。社会学というお堅い学問の本としてではなく、1つの物語として読めてしまうほどです。著者の力量がいかんなく発揮されている名著です。オススメです。