憲法学の読書案内のご紹介です。
本書は、数少ない(唯一?)の憲法の読書案内の本です。外国の理論家や、国内研究者の優れた論文集に対して、憲法学者が解説を加えています。本書は、副題として「改憲・護憲をいうまえに学んでおくべきこと」とありますが、チープな議論をする前に、きちんと最先端の研究をフォローしろということなのでしょう。2001年当時で、阪口正二郎『立憲主義と民主主義』までフォローしているという画期的な本です。しかも、美濃部達吉から蟻川恒正教授まで扱われているというから、もう驚くしかありません。今、同じ内容で復刊しても、十分通用する内容です。そして、そのころから改憲議論は全く進歩していないという悲しい現実……実は、本ブログが目指すのも本書と同じように、「現在の憲法学の到達点までの道しるべ」です。ただ、方法は多少違いますが。
以下は、本書で取り上げられている本の一部です。
- ホッブズ『リヴァイアサン』―長谷部恭男
- ロック『市民政府二論』―愛敬浩二
- ルソー『社会契約論』―山元一
- シュミット『憲法理論』―毛利透
- ケルゼン『法と国家の一般理論』―渡辺洋
- ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』―中島徹
- ドゥオーキン『自由の法』―小泉良幸
- 清宮四郎『国家作用の理論』―長谷部恭男
- 奥平康弘『なぜ「表現の自由」か』―川岸令和
- 杉原泰雄『国民主権と国民代表制』―石川健治
- 長谷部恭男『憲法学のフロンティア』―渡辺康行
- 松井茂記『二重の基準論』―阪口正二郎
- 芦部信喜『現代人権論』―小山剛
- 中村睦男『社会権の解釈』―君塚正臣
- 浜田純一『メディアの法理』―鈴木秀美
- 高橋和之『国民内閣制の理念と運用』―只野雅人
- 佐藤幸治『現代国家と司法権』―山元一
- 内野正幸『教育の権利と自由』―坂田仰
- 大石眞『憲法と宗教制度』木下智史
- 伊藤正己『法の支配』江島晶子
- 蟻川恒正『憲法的思惟』―小泉良幸
- 石川健治『自由と特権の距離』―西原博史
- 樋口陽一『近代国民国家の憲法構造』―渡辺康行
- 阪口正二郎―『立憲主義と民主主義』―木下智史