おもしろい読み物でした。
本書は、日本で英語を勉強しながら、英米人も驚くほどの英語力を身につけた〈達人〉たちの「伝説」を紹介する本です。登場するのは、新渡戸稲造、岡倉天心、斎藤秀三郎、鈴木大拙、幣原喜重郎、野口英世、斎藤博、岩崎民平、西脇順三郎、白州次郎の10人です。
個人的に惹かれたエピソードは、岡倉天心のものです。
天心が弟子の横山大観とボストンを歩いていたとき、1人の若者が次のように声をかけてきました。
What sort of 'nese are you people? Are you Chinese, or Japanese, or Javanese?
(おまえたちは何ニーズだ?チャイニーズか、ジャパニーズか、それともジャワ人か。)
それに対して天心が返したのは、
We are Japanese gentlemen. But what kind of 'key are you? Are you a Yankee, or a donkey, or a monkey?
(我々は日本人の紳士だよ。ところで君は何キーだい?ヤンキーか、ロバか、それともサルか。)
という鮮やかな皮肉。
私は、大学受験のときにこの本を読んで、受験英語を相対化できました。
英語に苦しむすべての人にオススメできる痛快な読み物です。