ゆとり社会人の読書ノート&エクセルVBA

素人が公法を中心に幅広く読書をします&エクセルVBA奮闘記です。

川崎修『ハンナ・アレント』(講談社学術文庫、2014年)

アーレント入門書の決定版の紹介です。

本書は、日本におけるハンナ・アーレント研究の第一人者である川崎修教授*1による、アーレントの入門書です。

元々は、現代思想冒険者たちシリーズの1巻として1998年に出版されたものでしたが*2、2005年に現代思想冒険者たちSelectとして新装版が出版され*3、2014年に学術文庫入りしました。この経緯を見るだけでも、本書のすごさが分かります。

私が読んだのは、2005年の新装版ですが、文庫化にあたって大きな加筆修正はなさそうです*4。あと、新装版に比べて若干安くなっています。

アーレント入門書としては、他に仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』(講談社現代新書、2009年)*5がありますが、本格的にアーレントに触れるとなれば、本書以外の選択肢はないでしょう。そもそも、同じ土俵の本ではないですしね*6

本書は、『全体主義の起源』が第1章、第2章を占め、第3章で『革命について』、第4章で『人間の条件』*7について解説されています。

どの章も、難解なアーレントの著作を噛み砕いて説明しており、なおかつ学問的水準も高くなっています。アーレントを読む前に必ず読んでおきたい、オススメの1冊です。

*1:川崎教授のアーレント研究については、岩波書店から論文集が出ています。

*2:

*3:

*4:出版社のWebページを見たところ、巻末の「キーワード案内」と「読書案内」がなくなっているようです。もし必要であれば、図書館でコピーを。

*5:

*6:同じく新書でアーレントについて扱ったものとして、矢野久美子『ハンナ・アーレント―「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』(中公新書、2014年)があります。しかし、まだこの本は読んでいないので、位置づけができません。悪しからず。

*7:『人間の条件』については、仲正教授の著作が入門書・副読書としてオススメです。